夜が明けぬなら、いっそ。





もう起き上がることも出来なくなった。

少し息を大きく吸うだけで肺が苦しくなって、咳込んで吐血してしまうから。


小さな息を何度も何度も繰り返して、1日1日を大切に大切に過ごしている。



「小雪ちゃん、また何かあったら呼んでね。少し診療所の方を手伝ってくるわ」


「…あぁ」



雪、降ってくれ。

頼むから少しでもお前に会いたいんだ。



「……けいしゅ、」



最初から、知っていたよ。

お前が戸ノ内 彦五郎を殺した暗殺者だということ。


そんなもの、あんな合掌を見てしまえばすぐに気づいてしまう。

そして最後の夜、背中の傷だって水面に反射してしっかりと見えていた。


だけどその傷を私は綺麗だと感動してしまったんだ。

殺したくないと、思ってしまった。



「───…あ、……雪…だ、」



ぱらぱら。

ふわり、ふわり。


それは空からの贈り物のように降ってきた。



「……景、秀……、会え………た、」



じわっと浮かんだ涙。

涙で見えなくなることがこんなにも惜しくて、同じくらい幸せだなんて。




「おまえが……すき……、だった……」