夜が明けぬなら、いっそ。





「───…冬に、…なったな…」



それから月日はまた流れた。

寒さを凌ぎきれるとは言えない布団と、けれど屋根も壁もある古民家。


あれから私はシロ爺にお願いして、こうして療養できる場所を探してもらった。

そのおかげか温かな人の優しさに触れて、こうして小さな診療所で匿ってもらっている。



「小雪ちゃん、具合はどう?」


「…いつもより、…いい、」


「…そう。雪がね、降りそうなの」


「……本当か、」



若い娘はこの診療所の一人娘。

私が万屋として少し名があったからこそ、こうして快く受け入れてくれた。


人は時に残酷だけれど、優しい生き物だ。



「………すい、せん…」


「ん?なぁに?」


「…阿保な形をした、水仙の……花言葉を、
…知ってるか」



襖はいつも開けておいてくれと、お願いしていた。

もしかしたら誰かが思ってもいないときに登場するかもしれないから。


「悪いね」なんて言って、帰って来るかもしれないから。



「ごめんね、そういうのあまり知らなくて…、村の人にも聞いてみるわ…!」


「…ありがとう…」