ならどういうつもりだ。
頬を伸ばした次は脇腹をくすぐって、すれ違う町人がどんな顔をしているのか知ってるのかお前は。
身なりは男なのだ私は。
街中で、こんな道の真ん中で男2人が触れ合って何をしているのかと。
「柔らかいね小雪。よかった、ちゃんと女の子だ。安心したよ俺は」
「…斬るぞ」
「ほらそれ駄目。きゃーーっ、なんて可愛い反応はないのかな」
「斬ってやる」
そんな私に、そいつは楽しそうに笑う。
関わっているだけ馬鹿を見るのは自分な気がする。
ここに置いていくか、それか土にでも埋めてやろう。
そんなことを考えながらも私は1つの目的地を目指していた。
「…父さん、遅くなってすまない。まだ詳しい情報は掴めそうにないが…着々と近づいてる気はするんだ」
花でも持ってくるべきだった。
途中で買えないことは無かったが、「そういうのは気持ちが大事なんだよ」なんて言う呑気な男に流されてしまって。
「私は元気でやってる。…人も、30は殺した」
それがあなたが何よりも喜ぶ知らせだろう、と。



