夜が明けぬなら、いっそ。





「退けよ、そこ」


「な、なんだテメェ」


「お前だけは首を跳ねるだなんて楽な死に方はさせないよ俺」


「ぐはァ…ッ!」



ガッ───!!と、刀ではなく蹴りで私の上に乗っかっていた男を吹き飛ばした。


景秀、怒っているのか…?

いつもお前は過保護なくらい心配はしてくれるけど、そこまで怒ることは1度も無かった。



「とりあえず逃げた我狼番衆の全員は殺っといたから、あとはこいつだけ。だから泣かないで小雪」


「…けいしゅ、」


「…うん。けいしゅだよ」



なぜか前々から、この会話はすごく安心する。

そのときは見たこともないくらい優しい顔で私だけを見つめてくれるから。


恨みも、妬みも、殺意も、そんなものすら一瞬にして消えてしまう。



「あぁ、お前は首を半分斬ってぶら下がったみたいに神経だけは繋がってるってのもありだね」


「な、何なんだよお前…ッ」


「その分ダサくて見てられないけど」



ケタケタ、カラカラ。
鈴が転がるような笑い声。

でもその目だけは笑っていなかった。



「でも…やっぱりそんな面倒なことすら冷静に出来そうにないんだ今回は」


「っ…!!」