気持ち悪いんだ、お前が。
お前ら全員。
だから男は嫌いなんだ。
すぐに態度を変えて、平気で嘘をつく。
数馬だって父さんだって、お前らは嘘ばかりじゃないか。
「…けい……しゅ、」
「けいしゅ?誰だそれ」
だけど、一番の大嘘つきはあいつだ。
小さなことから大きなことまで、平然とした顔で嘘を言ってくる。
そんなあいつが私は大嫌いだ。
それなのに……それなのに…。
あいつじゃないと、気持ち悪いんだ。
「けいしゅ───…」
「ぐは……ッ!!」
「うわぁぁぁあああ!!!」
それは私の上に乗っかっていた男の叫びではなくて。
それを面白可笑しく拝見していた奴等の仲間からだった。
ドサッ、ドサッと。
腕、足、首、まるで川や海を跳ねる魚のように身体の部位が宙を舞う。
「───…悪いね、遅くなった」
血だらけの私以上に血だらけ。
けれど、それは全て屍になっている死体から浴びたもの。
景秀、大事なことを忘れてるぞ。
お前の真骨頂だろう。
合掌をしないのか、今日は。



