「標的はあの3人で間違いないね」


「あぁ、お前は先回りして構えていろ」


「駄目。そうなると小雪1人に護衛させることになる」



ナメてもらったら困る。

いいや、これは当たり前の心配をしているんだよ───。


そんな言い合いなどしている暇はない。

目の前を歩く護衛的である若い町娘、それを先の店から狙う不逞の輩3人。



「ゴホッ、ケホッ」


「小雪、俺の言うことを聞いて」


「…確実に仕留める為だ。逆に私の言うことを聞いてくれ」



様子を盗み見る暗い路地裏。

こうなったら最終手段だと、私は景秀の袖をきゅっと掴んで見上げた。



「お願いだ、けいしゅ」


「……」



……足りぬか。

こうなったら、少し背伸びをして首に腕を巻いてみる。



「…こんなこと、俺は教えていないよ」


「花街で見て盗んだ」


「……まったく余計なことをしてくれるね。連れて行ったのは誰だよ、そうだ俺だよ」



情けない自問自答。

それでも男は私の背中に腕を回して受け入れてくれる。


ちゅっと、今度は油断していた私に弾けるような唇が合わさった。