【短】千波~thousand wave~



「…こーた…」

「すみませんでした…っ」


人を好きになった瞬間から、心は自分の思いも寄らない場所にいて。

自分のことなのに、掴み切れない歯痒さが、歪みを作る。


もっと綺麗なら、よかったと。
もっと澄んでいられたら、よかったのに、と。


そればかりを願って、結局周りのことが見れなくなってたことに気付く。


気持ちをぶつけてしまえば、楽になるだろうって思ってたこともあったけど。

実際、気持ちをぶつけても全然楽になんてなれなくて。


後から後から溢れ出す気持ちに、張り裂けそうなほどキリキリと胸が痛む。
自分の想いを吐き出してしまった今、まともに顔なんか見ることが出来なくて、ヒリヒリする喉の奥と、熱くなってくる瞼の裏に気をやりながら、部誌を穴が開くほど凝視する。