【短】千波~thousand wave~



「せんぱ…」

「…さいあく」


その透明な雫が、先輩の涙だと知って胸が締め付けられるような気がした。
いつも笑ってて、芯のしっかりした人なんだと思ってたのに。


まさか自分が泣かせてしまうなんて…。


「すみません…」

「…っ。聞きたいのは、そんなことじゃない…」

必死で泣くのを堪えてる桜先輩の肩が小刻みに震えて。
それが自分の心臓にダイレクトに突き刺さるようだった。



「オレ、先輩が…桜先輩が好きです」

「……っ」

「でも、怖かった。…凄い胸が痛くて…自分が自分じゃなくなるみたいで。こんな自分じゃ、先輩のコトも傷つけるかもって…」


そうだ…怖かったんだ。
どんどん自分が別のものに変わってしまうような感覚が。
コントロールのきかない感情を育ててしまうことが。

桜先輩にそれを受け入れてもらえなかった時のことが…。