真生との会話に集中していた千井くんは、自分のことには随分と耳聡いらしい。
朝水くんに、笑顔でずずいっとにじり寄っている。まるで恐喝現場を目撃したかのような気分。
「……だって、千井におしえてもらうの、なんか癪」
「なんで?!僕以上に頼りになる友達いる?!」
「ちずがいる」
「それはそうだけどっっ!!!」
どうやら、千住くんも朝水くんほどではないにしても、授業中に居眠りしたりサボったりする常習犯らしい。
「……それで、葉柴さん的には、だめ、かな」
「えっ……」
千井くんに詰め寄られながら、ちらりとわたしに視線を配る朝水くん。
反射的に真生の方へと視線を向ければ、なぜか真生はきょとりと小首を傾げていて。
「……凛琉の好きにしたらいいと思うよ」
「へ、」
わたしが何か言うよりも先にそう言われて、言い出そうとしていた言葉を引っ込めた。



