それは、夏に突入してすこし経った頃。

ある日真生が体育の時に怪我をして、心配で授業が終わり次第保健室に向かった時のこと。



「え?……あ、朝水くん?」



ドアを開けて見る限り、真生の姿は見えなくて。

ひとつだけカーテンが閉まっていたから、もしかしてそこで休んでるのかな?と思って、違ってたらごめんなさい、と謝りながらこっそり覗けば。



「……ぅうん?……あれ、はしば、さん」



そこに眠っていたのは、わたしの親友ではなく。
かといって、まったく知らない人でもなかった。


最近、避けられていると思っていた朝水くんが、そこでごろんと眠っていた。ちなみに、あのファンサはカウントしていない。

……あれ。わたし、朝水くんの寝てる姿をいちばん目にしている気がするけど、これって気のせい?



「……あ、ご、ごめんね?!起こしちゃって」

「……いや、べつに。……いま、なんじかんめ?」

「今は……えっと、2時間目が終わったところだよ」