そして、その後ろからひょっこりと顔を出した、本日も眠たげな朝水な……、朝水くん。




「……どしたの、こんなとこで」

「那吏、ちゃんと目開けて歩け。こける」

「……ねむ、」

「お前らほんと話聞かねえな……」




千住くんが、なにやら頭が痛そうに鼻の付け根を揉んでいたけど、やがて千井くんの襟首を掴んだまま、朝水くんと一緒に背を向けた。


わたしはというと、もちろん手を合掌、いや、もはやお祈りする時みたいに手を組み合わせていた。


すると、朝水くんの背中を拝んでいるわたしを、ちらりと目だけで振り返った朝水くんは。

千住くんの肩に手を置きながら、ぴん、とわたしのお祈り状態の手をゆびさして。


その指と、反対の手の指で、ちいさくバッテンをつくった。



「……っ」



そ、即死級のときめきをもらってしまった。


朝水兄弟、ふたり揃ってなんて破壊力。

ファンサ過剰すぎて、ときめき過多が原因で死亡しそう。



「……え、り、凛琉、鼻血出てるよ!?」

「……わ、ほんとだ」

「まって。いまポケットティッシュ出すから」

「真生、ポケットティッシュなんて持ってたの……?」

「うん。千住サマが持ってろって言ったから。大丈夫?」

「うん、だいじょうぶ」




わたしの人生、もしかしたらもう佳境に突入してしまっているのかもしれない……。