「まだまだ私は聖女として半人前なのは確かだけれど、先代は神殿じゃなくても、聖女としての力を発揮できていたのに……」


『なら聖女の座を降りるか?』


「馬鹿言わないでよ」


リュードルの意地悪な質問に、私は真剣な声で返す。


確かに、この年で自分が聖女になるなんて予期してなくて、聖女としての責任の重さに息苦しさを感じる時もあった。


先代、エルゼナート・ジェレラルド様に、聖女の原石であると言われて、王宮で彼女と共に過ごす生活が始まったのは十歳になった時。


彼女の傍でこれからたくさんのものを学んでいくと思っていた。


私が一人前になった時、聖女の座を託すなんて言っていたのに……三年前、先代は突然に息を引き取った。


聖女の世代交代は、聖女の死。


それを知らされたのは、私が聖女としてこの国を支える側の立場に立った時、リュードルから言われた事だった。


この国をどれだけ探し回っても、聖女の力を持つ存在は私しかいない。


悲しさに溺れる毎日だったけど、先代が守ってきたこの国を守れるのは私しかいない、だから私は聖女として生きていく事を決めた。