そんな風に自分に言い聞かせていると、荒々しく扉を開けて部屋に戻ってきたジルと不覚にも目が合った。
この状況下においてこの人だけには見られたくなかったというのに……!!
ぎょっとした目で私達を見つめながらすかさず近づいてくると、フェイムを起こさないように優しい手つきにも関わらずフェイムに近づくなとでも威嚇するようにフェイムから私を遠ざけた。
肩の重みが解放された私は椅子から立ち上がりその場から距離を取る。
「俺の相棒に寝込み襲おうなど、お前も見かけによらず肉食な女だな」
フェイムをゆっくりとソファーに横になるように寝かせると、ジルは上から下まで私をじっくりと眺めてくる。
「誤解よ。というより、純粋にフェイムに肩を貸していただけ!それに、貴方みたいに女性にチヤホヤされてる男に言われたくないわ」
どこの村へ行ったとしてもジルのこの行事化されている、女性との絡みを平然とこなしているこの男の方がよっぽど危険だと思う。
寝込みを襲おうなんて発想がそもそもなかった私に、突然言われたその言葉に自然と顔が熱くなった。
バレないようにそっぽを向いてジルの事を見ないようにしていると、やれやれといったご様子でゆっくりと私に近づいてくる。
「俺のあれは仕事の一環だ。ああでも接していないと、女達は次から次へと厄介な噂を垂れ流す生き物だ」
「そういう風に女性を見てるなんて知れたら、貴方いつか刺されるわよ?」
嫌味ったらしく言ったつもりだったけどジルにはちっとも効かなかったようで、それも有り得るなんて呟いた。



