事が上手く進めば国外追放も免れて、こんな辺鄙な場所だとしても聖女としての務めが続けられるんだ。


先代がこんな私を聖女に選んでくれて導いてくれたこの道を、途絶えさせるなんて絶対させない。



「決まりだね。これからよろしく、リゼさん」

「こちらこそよろしく!ジル、フェイム!!」



二人の手を取ってぶんぶんと振って零れた笑みを向け、ふとその気配に気づき手を離し気配の元へと駆け寄った。


風を巧みに操りやってきたリュードルの目を見れずに、もじもじとしながら彼に近づいた。


『何かおかしいと思って来てみれば……リゼ、クリスタルはどうした』


流石守護竜様だ、一瞬にして私がやらかしたことを見抜いてしまうとは……頭が上がらない。


嘘で誤魔化してもリュードルには通用しないことを察し、起こった出来事をそのまま口にする。



「彼らを助けた時に、その〜……壊しました」


『全く、お前と言う奴は……』



呆れ顔でやれやれと首を振り翼を畳み、静かに一つ吠えた。


「うわっ!」



驚いた様子のジルの声に気づき、リュードルが自身の姿を聖女の力なき存在にも見える魔法を使ったのだと理解する。