聖女として今までろくな働きが出来なかった私だったけれど、今日は何が何でもこの手で止めてみせる。
「ジル……お願い、あの核をこれ以上魔法陣に近づけさせないで。フェイム、貴方は、一文字でもほんの僅かでもいいの。上空の魔法陣の書き換えをお願い……少しだけ私に時間を作って」
作戦の内容は伝えずにやって欲しいことだけを伝えると、何かを勘ぐったジルが険しい表情で私の顔を覗き込んできた。
「リゼ、何をする気だ」
「止める。ただそれだけよ」
「今のあんたの身体じゃ無理だ」
「……無理なんかじゃない。私は変わったの。そう言ってくれたのは、ジル。貴方よ」
「っ……」
痛みに耐えながら笑って見せると、物言いたげな顔を一瞬だけ見せるけれど、それ以上は口を挟んでこなかった。
ありがとう、ジル。
私貴方のそういう所も、大好きよ。
この場に及んでなんて事を考えてるんだろう、私ったら。
ただその気持ちが溢れてしまって、今の私にはもう止めることのできない想いが身体を動かしてしまう。
ジルの首に腕を回し、ジルの優しい温もりに唇が触れる。
何時ぞやに唐突に恋人のフリをしろだなんて言われて、キスされた時は動揺を隠しきれなかったけれど、あの時にちゃんとどういう気持ちでキスしたのか聞けば良かった。



