いざって時に活用するように、なんて先代には言われてたけど……活用する日が本当に来るなんて思っても見なかった。
手順を忘れずに覚えていたんだから、褒めて欲しいくらいだ。
「この階段は城内へと繋がってる隠し通路なの。真正面から突っ切れないなら、裏から攻めるのだってありよね?」
「上出来だ」
ジルにポンっと頭を撫でられながら褒められて、すっごい嬉しくて幸せな気持ちに顔が緩みそうになるのをぐっと堪えて、先頭を切るように階段を降りていく。
聖女の私に反応してくれた壁に掛けられたクリスタル達が次から次へと灯りを灯してくれて、薄暗い足元を照らす。
階段を降りきると、昔使われていたであろう水路の跡が真っ直ぐに伸びていた。
「この水路を辿っていけば、城内の中庭に出るはずよ。実際使ったことはないから、確かな場所はよく分からないの。ごめん」
「突き進む道があるんだ、そんな謝ることじゃない」
「お城に着いて敵が現れたら、ジルが大活躍してくれるしね」
「そう言って俺を盾にするなよ?フェイム」
二人の会話にクスリと笑いを零していると、頭上から大きな足音が響き渡ってきて緊張感が走る。



