君に逢える日

 角を触りたいというのはわからないけど、彼に触れたいと思う瞬間は私にもあるから、少しだけわかる。

「……もっと触っても、いいですよ」

 囁くように言うと、彼はゆっくり近付いてくると、優しく私の頬に触れた。

 真剣な瞳も相まって、彼が触れたところが熱くなってくる。

「あ、あの……」

 戸惑いの声を出しても、彼は手を離してくれない。

 私が逃げればいいだけなのかもしれないけど、彼の視線に捕まったみたいで、動けなかった。

「……椛さん、キスって知ってますか」

 声が出なかった。

 頷くことで伝えられるとわかっているけど、その先の展開も予想できてしまったから、頷けなかった。

 すると、彼は少し悲しそうな目をして、離れていってしまった。

「嫌な思いをさせたなら、ごめんなさい。こういうの、イタズラにはしたくなくて。だから許可を求めてみました」

 彼の誠実な思いが伝わってくる反応で、私のほうから、彼に口付けをした。

 ゆっくりと離れてから、彼の驚いた表情に気付く。

「……驚いただけで、嫌だったわけじゃないです」

 急に恥ずかしくなって、彼から離れるように歩き出す。

 だけど、すぐに追いつかれてしまった。

「椛さん、また会ってくれますか?」

 彼は幸せそうな顔をして言う。その気持ちが伝染して、心が暖かくなる。

「はい。ハロウィンではない日も、逢いにきますね」