目が覚めた時、窓の外に見える空は茜色に染まっていた。

窓の、外……?



「授業……」



現状が把握できないけれど、一つだけわかることがある。

授業前に起こされることなく、夕方になってしまっていたということ。



「あー、のど起きたぁ!!」



その聴き慣れた大きな声に、体がビクッとなる。

鞠……鞠の声だ、びっくりした。



「アンタ、寝起きにいきなり大きな声聞いたらびっくりするでしょうが」

「ごめんのど~、起きて一番にマリが見つけたのが嬉しくってぇ」

「ガキか」



見渡すと白い天井に白いカーテン……医務室の中、か?



「……佐藤、は?」



けれど、寝落ちる直前まで見かけていた佐藤の姿は、そこになかった。



「佐藤?教員棟行くとか言って入れ違いに出てったけど」

「それまではここにいたってこと?」

「和香、佐藤にここに連れてこられたんじゃないの?」



連れて、来られたんだっけ……?

眠りに付く直前、確かに私は池の前のベンチに寝転んでいたはずで。

そのままずっと寝ている予定ではなかった。



ひとまず起き上がって医務室を三人で出てから、校内にあるファーストフード店で佐藤を待つことにした。