「はやく、部屋いこ」

「うん……」


遥、なにも言ってこない……。

私が想いを伝えたあと、着替えやなんやらでバタバタしていて、ちゃんとふたりになる機会は今までなかった。


「予約した清見です」


「清見様ですね、いらっしゃいませ。
お支払いは済んでおります。
こちらがお部屋の……」


手際よく話を進めていく遥を、うしろからぼーっと眺める。


手、つなぎたいな……。


遥とふたりのときはいつもふれてくれてたから、車の中でもずっと距離があいたまま。


寂しい。

好きを自覚したとたん、遥への気持ちがとめどなくあふれてとまらなくて。


私、いつから遥のこと、こんなに好きだったの?

今も少し離れただけで、心の声が聞こえないだけで。

胸がぎゅっと締めつけられるくらい、苦しい。