加藤さんから受ける溺愛は、8割は重いな〜うざいな〜と感じるものの、2割は……正直……女としては……やっぱり嬉しかったり、する。
可愛いな、と思ったりする。
それが無くなったらやだなぁ……と、加藤さんとの甘すぎる砂糖のような日常を経験してから、思うようになってしまった。
アラサーどころか、もうすぐアラフォーになるというのに……。
こんなビビりだったっけ、私。

「いけない……もう戻らないと……」

スマホで時間を確認すると、いつの間にか1時間近く時間が経っていた。
仕事は……まだまだ残っている。

「気持ち切り替えて、仕事終わらせなきゃな……」

ソファから立ち上がり、オフィスに戻ろうとしたその時だった。

「綾香」

いきなり背後から、いるはずのなかった彼の声が聞こえた。