私を赤く染めるのは



そんな中、口を開いたのはセンターの一色 煌(いっしき こう)(19)だった。

「最高の景色を見せてくれてありがとうございます。すげー幸せ。ほら、お前らも泣いてる場合じゃないって」

そう言うと煌は会場全体を見回し、その光景を目に焼き付けるかのように微笑んだ。

モニターに映された煌に周りからは「キャー!煌ー!!」と新たな歓声が上がる。



煌はセンターというだけあってカリスマ性があり、こういった場面でファンを引き込むのがとても上手い。

会場の6割近くが煌のメンバーカラーである赤いペンライトで染められていて、それだけ煌のファンが多いことを意味していた。


「そうだよな、泣いてる場合じゃないよな。じゃあ、まずは自己紹介すっか」

歓声が鳴り止むと今度は慎くんが口を開く。

するとモニターには一番左に立っていた凌久(りく)がアップで映し出された。