※時系列的にはお付き合いを始めているのですが、かなり残念な加藤さんが見られるのでこちらに入れました。

今日は、12月24日。
いつもだったら、仕事納めのために業務に追われている真っ最中。
ちなみに去年は、終電ギリギリまでオフィスにいた記憶しかない。
妙に部下たちが

「加藤さん?本当に用事ないんですか?」

と聞いてきたので、その度に

「君たちは暇なの?」

と返していた……気がする。
でも、今年は違う。
何故なら……。


「あの……加藤さん?」
「何?」
「いえ……今日……良いことありましたか?」
「……は?」
「……いえ……何でもないです」

色んな部下と、これと全く同じやりとりが繰り返された。
一体何だと言うんだ。

「あ、加藤さんいたいた」

げっ……。

「か、河西……」
「あからさまに嫌そうな顔しないでくださいよ。傷つくなー」

お前はそんなことで傷つくようなタマじゃないだろう。
そう言ってやりたかったものの、立場としては僕が上だ。
大人気ないことをするべきではない……とはわかってはいるが……。

「あ、加藤さん、伝言です」
「誰から」
「高井さんから」
「それを早く言え!!そして何故君に伝言が!?」

こいつは、僕の大事な綾香を横から掻っ攫おうとした前科がある。
やはり、油断は禁物。
どうやって、牽制するべきか………。
って、今はそれどころではない。

「どういうことだ河西、答えろ」
「いや、そういうとこですよ」
「は?」
「周り見てください。加藤さんの高井さんへの溺愛っぷりは、引くくらい有名なんですから」

見渡してみると、僕と目が合いそうになると逸らす人が多い。

「……だとしても、それがなんだ」
「開き直らないでくださいよ、加藤さん。高井さんはそれを気にして、俺に、わざわざ、LINEで、連絡を寄越したんですよ」

LINE……だと!?
まだこいつ、僕の綾香とLINEをやっていたのか!?

「見せろ」
「はいはい、これが伝言です」

河西が見せた画面にはこう書かれていた。


河西くん、ごめん!
今日、加藤さんとの約束があったんだけど、アポに来てる取引先の人に捕まっちゃって、急遽接待になっちゃったの……!
加藤さんに行けそうにないって謝っておいてくれないかな。