小さな音がして、キツネのお面にヒビが入っていた。


しかし、強い衝撃を体に受けた良介は呼吸を取り戻すことで精一杯だった。


「だい……じょうぶか?」


隣にいる自分に声をかける。


「なんとか」


その声は苦しげだけれど、休んでいる暇はない。


振り向くと大倉先生がモヤを引き連れて近づいてきている。


モヤはいつでも次の攻撃ができる準備を整えていた。


こっちにはお札しかない。


これ以上まともに攻撃を受ければ、死んでしまうかもしれない。


かといって逃げる暇があるかどうか……。


考えれば考えるほどここに逃げ道はなかった。


冷静になろうと思っても頭の中はパニックで、近づいてくる大倉先生とモヤに足元が震えてくる。


「裏鬼門も忘れられる存在よ!」


そんな中で、稲荷の声が聞こえてきた。