稲荷は額に汗をたらしてそう言った。


モヤの攻撃を回避するために力を使ったようだ。


良介はすぐに立ち上がり、こっちの世界の自分に肩を貸して立ち上がらせた。


このモヤを封印するためには、どうしてもお札が必要だ。


稲荷ではなく、自分たちが立ち向かっていかないといけない。


「くそっ! 邪魔をするな!」


大倉先生の怒鳴り声が響いた次の瞬間、ナイフが空中を飛んでいた。


それは稲荷の右腕に突き刺さる。


「うっ」


うなり声をあげてうずくまる稲荷。


「稲荷!」


駆け寄ろうとしたが、それを邪魔するように再びモヤが前に出てきた。


これじゃ助けられない!


2人は同時に後ずさりをした。


モヤは2人に対峙すると、すぐに右手を振り上げた。


「逃げろ!!」


叫ぶより先に2人の体が同時に吹っ飛んでいた。


モヤに攻撃され、貯水槽にぶつかる。


ピキッ。