「えぇ。きっと毎日お供えをしてくれていたからでしょう。悪霊たちに当てられないのも、その行いのおかげかもしれません」


なんだかわからないが、こっちの世界での行いがこうした結果を生んでいるみたいだ。


「家に戻ってから急に眠くなって、夢を見たんです。その時黄金色に輝く神様が出てきた。


神様は俺に言ったんです。最上稲荷に来て、札をもらいなさいって。それから、この場所が見えた」


良介は屋上を見回して小さく息を吐き出した。


「その夢を見てからいてもたってもいられなくなって、すぐに言われたとおり最上稲荷に行ったんです。そうするとキツネたちが俺を待っていてくれて、夢に出てきたお札を渡してくれました」


それが、今良介が持っているものらしかった。


「この札を使えば、岩から出ているモヤを再び封印することができる!」


良介の言葉に今度は大倉先生がたじろいだ。


一瞬後ろを向いて岩を確認している。


岩の隙間からはいまだに絶えずモヤが噴出し続けていて、町を覆いつくそうとしている。


もうそんなに時間は残されていないはずだ。