稲荷寺のパラレル少女

しかも、最悪な形で。


「お母さん、私は生まれてきちゃいけない子だったの? みんな、産んじゃダメだって言っていたの?」


そう質問されたときには胸が張り裂けてしまいそうだった。


力の限りヨシコを抱きしめて「そんなことない。お前はお母さんの宝だから」と、何度も言った。


それでも周囲の変化は顕著だった。


こんな小さな町で村八分にされてはひとたまりもない。


キミコはたちまち職を失い、食べ物にも困るようになってしまった。


それでも毎日どこからか食べ物を別けてもらい、そのすべてをヨシコに食べさせていた。


そして、ある日……。


「お母さん?」


朝になって横で眠っている母親に声をかけても、反応がなかった。


「お母さん起きて」


揺さぶっても、叩いても目をあけない。


母親の顔は青白く、唇は紫色だ。


その変化に驚いたヨシコは大きな声で泣き出した。