稲荷寺のパラレル少女

3人で固まって逃げているように見えるけれど、2人が良介の後ろに隠れるようにして移動している。


良介が2人から離れようとすると、それを許さないように腕を引かれ、盾にされている。


それを見て良介は眉を寄せた。


なんだろう、なんだかすごく嫌な予感がする。


胸にモヤモヤとした言いようのない感情が浮かんできて、服の上から自分の胸を押さえた。


自分の世界でもドッヂボールはしているけれど、盾にされたことなんて1度もない。


やがて体育の授業は終わり、先生の合図で教室へ戻っていく。


モヤモヤとした気持ちになっただけで、決定的ななにかを見つけることはできなかった。


生徒たちはみんな教室に入ってしまうから、自分のことを観察することもできない。


結局なにもわからなかったか……。