そこまで高齢ではない薬師神だ。敵をつくるような人物でもないし、怪我をしたなら自分で治せるはずだ。


そして薬師神のページだけが不自然に焦げているのを見つけた。


まさか誰かが神籍から名を消そうとしたのか?


神籍から名前を消すのは至極の技だ。紅蓮にも朱雀にも、もちろんできない。


出来るとしたら魔帝や天帝などの最上級の位の者だ。


ますますわからなくなった。


朱雀は首を掲げながら宮を出た。


そして、ふと己の主である紅蓮が心配になった。


戦もなく紅蓮もいない魔宮では暇を持て余す日々だ。


白蘭が生きていたんだよな…。私も友に会いに行こう。


そうして朱雀は飛行術で大きく飛び上がると人間界へと向かった。