何故かモヤモヤし始めていた気持ちを切り捨てるように首を横に降っていると、私達を見つけたであろうカイルさんがやって来た。


「レイ様、視察の予定の時刻が間もなくです」


「もうそんな時間か」


「移動の足はもう用意してあります。お支度が整い次第いつでも」


 完璧なカイルさんにレイはやや困惑顔を見せつけるけど、カイルさんは何一つ動じない。


 仕事の邪魔をしてはならないと、私は庭園の方へと身体向ける。
 

「じゃあ、私達はここで」


 お暇の準備は万端。


 今日はユツィーと共にどんな土を作ってみようかと考えていると、その行く手を阻むかのようにレイが私の前にやって来た。


「ルフィアも一緒に来い」


「いや、だってお仕事なんでしょ?!」


「視察がてら、婚約者を周知させるのもありだろう」


「確かに。それはいい案ですね」


「えっ?!」


 普段なら絶対レイの突然すぎる申し出には、断固拒否!と声を上げるであろうカイルさんが、賛同する。


 カイルさんの許可を得たレイは表情を明るくさせ、すぐ準備してくると足取り軽く支度をしに廊下を走っていく。