「落ち着いてきているとはいえ、戦争が全て終わったわけではないので無理もありません。いつどこで命を狙われるか分からないんです」
「……」
「不安にさせてしまったのならすみません。でもレイ様は、複雑な最強魔法をいとも簡単に使いこなせるお方。そう易々と命を他人にくれてやるようなお方ではありませんよ」
自信満々に言うカイルさんの言葉には嘘はなさそうだ。
でも、誰かに命を狙われるなんて……日々の生活は気が気じゃないはずだ。
「街でも噂されているでしょう?冷酷非道の国王様だと」
「……はい」
「力の強さは嘘ではありません。人々が震えるくらいの恐ろしい力の持ち主なんですよ」
恐ろしい……カイルさんのその言葉に、違うと首を横に振った。
「レイは恐ろしい人ではないんです。優しくて、思いやりのある素敵な王様です」
確かに、最初は噂通りの人だったらどうしようと怯えた。



