穏やかな顔で私に向かって手を伸ばしてきて、ユその手を取るようにユツィーの背中から出た。


 そんな顔されたら断るに断れないんだもの。


「ルフィアに、魔法を作るのを手伝って欲しいんだ」


「魔法を作る……」


「そうだ。ルフィアにしか頼めない」


 頼られる眼差しは不慣れで少し擽ったい。


 レイの真っ直ぐ見つめてくる視線に胸が高鳴ってきそうで、私は振り切るように何度も頷いて気持ちを落ち着かせた。


「その前に、朝食を摂ってからにして下さいね。食事を摂ることは、集中力を継続させるのにも必要ですから」


「では、いただこうか。ルフィアも、まだ食事の途中だろ?」


「うん」


「ユツィーにも今度、魔法をエネルギーとした物を作ってみるか。俺が居ない時に、ルフィア一人で食事するのも寂しいだろ」


 願ってもない言葉に、私は思わずレイの手を強く握りしめた。


「ユツィーとも一緒に食卓が囲めるの?!」


「ああ。その様子だと、俺が居なくて少しは寂しかったようだな」


「えっ、そういうわけじゃ……!」


 確かに、誰かが傍にいるのに何一つ会話のない時間が続くのは苦痛だった。