二人してニコニコ笑みが止まらず、嬉しさを噛み締めているそんな時、おもむろに部屋の扉が開いた。
「……ルフィア、起きてるか?」
「レイ?」
入ってきたのは紛れもなくレイだというのに、覇気がないというかなんと言うか。
一日ぶりに会った彼は、少々、いや……かなりの疲労を蓄積したご様子の顔で、私達の前に現れた。
目の下には薄らとくまが出来ており、健康そうとは言い難い。
一国の国王様がこんな顔して城にいるなんて、誰が想像付くだろうか。
「すまない、溜まっていた仕事をしていたら気づいたら朝になっていた。顔を見に行こうとしてはいたんだが、カイルが許してくれなくてな……」
「私は大丈夫よ。レイこそ寝れてないんじゃないの?」
「いや、こんなのしょっちゅう――」
「マスター!婚約者であるルフィア様に、そんなかっこ悪い姿を見せに来ないでください!」
レイの言葉をかき消すように、ユツィーがピシャリとレイに向かって叱った。
「は?」
「忙しいのは分かってますけど、仮眠を取ってくるなり、ルフィア様に心配かけないようにするのも一つの務めでしょう?そんな姿を見せて、ルフィア様に失望されたらどうするのですか」
「いや、待て。お前、ユツィーか?」
「はい。マスターが作製なされた魔道人形のユツィーでござます」
何を当然のことを、とでも言いそうな彼女の表情に、レイは目を丸くさせた。
無理もない、昨日までただの人形で命令でしか動けなかったユツィーが、自分の意志を持って会話をしているのだから。



