例え人形だとしても、感情がないとしても、私はユツィーと――友達になりたい。
幼い頃に師匠に貰ったぬいぐるみだって、大事に可愛がってあげれば、いつかその子の声が聞こえてくるよと教えて貰ったから。
短い間でも彼女の傍に居られるなら、私は私なりに彼女に自分の抱く気持ちを示すだけだ。
「じゃあ、ユツィー!一緒にお風呂に入るわよ!」
何故と今にも言いそうなユツィーの手を取って、今度こそユツィーを先に湯船に浸からせた。
私も豪快に下着を脱いで、湯船の中で固まるユツィーの隣へと急ぐ。
二人同時に入ったから湯船からお湯が流れ落ちていくのを見ながら、私はユツィーに笑って見せた。
「ちょっと狭かったね」
「では私は上がらせて――」
「だーめ。私の背中も洗って欲しいの!それまで一緒にゆっくり浸かりましょ」
命令とは言い難いお願いを伝えると、それを受け入れてくれたユツィーは私と一緒に湯船に浸かってくれた。
その後はお願い通り背中を洗って貰ったけれど、少し擽ったくて、仕返しにユツィーの体も洗ってあげた。
まあ表情は変えないから、擽ったいと感じてはいないんだろうけど。
「ねえ、ユツィー」
「はい」
「またこうして明日も一緒にお風呂に入ってくれる?」
「どうしてですか。体を洗うのであれば、洗う際にお声掛けしてくれればよろしいかと」
「だって、一緒に入った方が楽しいもの」
「楽しい……」
泡に体を包み込まれたユツィーの小さな呟きは、ふわふわと漂うシャボン玉のように綺麗に色を持っているように思えた。



