「え……」



 顕になったユツィーの肌に、私は目が釘付けになった。



 人とは違う、その肌に。



「すみません、ルフィア様。私はマスターによって作られた【魔道人形】です。入浴という行為は不必要です」



 胸や背中、腕や足、至る所に刻まれた複雑な魔法陣に、腕や肩といった関節は全て球体状の関節で、ユツィーが人間ではないことを指し示していた。



「水に濡れても問題はありませんが、共に入浴するという行為は世話係の仕事には含まれておりません」


「にん、ぎょう……?」


「はい。私は六年前にマスターが作られた、魔道人形です」



 人形という言葉はあまりにもあっさりと私の中に溶け込んでいくのに、ユツィーの肌をジロジロと見つめたくはなかった。


 会話というものが成り立たないのは、彼女という人形に感情がないから。


 分かった答えなのに、どうしてこんなに悲しいんだろう。



「ごめん……知らなくて」


「私は、私に任された任務を遂行するためにここにおります。何なりとお申し付けください」


「ユツィー……」



 キラリと輝く彼女の瞳には、私はどう映っているのだろう。


 感情のない彼女という人形には、命令されたただの対象としか映っていないとしたら……それはすごく寂しい。


 私にはちゃんとユツィーという、一人の女性が目の前にいるという事実があるのだから。