街を一望できるこの教会の前で、真っ白なドレスに身を包んだ私は、沢山の人に祝福の言葉を投げかけて貰いながら、愛する人の元へと歩んでいく。

 私の姿を捉えた彼は、目を細めて幸せそうに笑う。

 そんな彼の手を取って、誓いの言葉を口にする。

 私の指にぴったりな大きさの指輪を、人差し指にはめて貰って正式に私達は夫婦となった。

 これから先訪れる困難も、この人となら一緒に乗り越えていける。

 どんな時も絶対に二人で支え合って生きていくと決めたから。

 少し前に居た、冷酷非道の国王様はもうどこにもいない。

 だって今の、彼は――

 『愛され上手の国王様』と、そう呼ばれているのだから。



 そして彼を変えた婚約者が『幸せを導く月のお妃様』と呼ばれるのは……もうすぐやってくる近い未来のお話。