「キャー!!セドリック様ぁ〜!!」

「愛しのセドリック様〜〜!」


 勢い良くセドリック目掛けてやってくる女性達の群れに成す術もなく、見事セドリックを奪われた私は一人になってしまう。

 本当についてない……。

 周りを見れば噂が広まったお陰で、レイの婚約者としてあちこちから声を掛けられそうになる。


「すみません。僕とご一緒して頂いても?」

「えっ、その……」


 後ろから声を掛けられて反応に困っていると、有無も言わさずその男性は動き出す。


「では、行きましょうか」


 慣れない格好のせいで抵抗出来ず強引にエスコートされるまま、人気のないバルコニーへと移動する。

 一曲踊らされるのかと内心ヒヤヒヤしていたけれど、どうやら回避できたらしい。