慌てて立ち上がって部屋に入って来る前に私が部屋の外に出ると、レイが留守の間の私の護衛役を任された彼が人懐っこそうな笑顔で私を迎えた。


「おはようございます!今日も一日宜しくお願いしますね」

「おはよう。こちらこそよろしく」

「何かお困りの事があったら何なりとお申し付け下さいね。まあ……俺、騎士団でも新米なんで頼りにくいかもですけど」

「そんな事ないよ。いつもありがとう」


 視察の時から何かと縁があるのか、ラジールくんと顔を合わせる事もあったし、知らない人に任されるより断然いい。

 それに騎士団長のユートさんが選んだ人だ。

 腕の立つ剣士になること間違いなしだとユートさんのお墨付きの彼に護衛役をしてもらえるのだから、心強いのは変わりない。


「……でも今日も私部屋で時間を過ごすよ。いざって時にラジールくんも動ける方がいいと思うし」


 そういうのはただの建前で、実際の所庭園に行ったり城の中を散策していると、レイの面影を探してしまうのだ。

 執務室を覗いて見たり、城のどこかで仕事をしているんじゃないかとやたらと周囲に神経を使ってしまっている。

 それが辛くて、この三日間はずっと部屋に引きこもりっぱなしだ。