「おはよう、ルフィア。支度は出来ている……な」

「おっおはよう!」


 じっくり下から上まで見つめられて、どこかおかしい所があったのか不安になるけれど、息を吐いたレイは少し視線を泳がせてからこう言った。


「風に靡くルフィアの髪も好きだが、そうやって色気を纏うように纏めあげるのも悪くないな」


 何故かご満悦そうな顔をするレイに、ユツィーがわざとらしく溜め息を零しながら、彼の着ているシャツの首元をグイッと引っ張った。


「悪くないじゃなくて、その髪型も見たくてしょうがなかったって素直に言ってくださいませんか、マスター」

「なっ……!」

「柔らかい綺麗な髪の毛をずっと触っていたいだとか、可愛らしいルフィア様を懐に入れて持ち歩きたいだとか、私に零していた褒め言葉の一つや二つ、本人に言えばいいじゃないですか」

「うるさい!全部可愛いからどこを褒めていいのか分からないだけだ!」

「……っ!」


 ユツィーに怒鳴るレイは立場的には本来なら、彼の方が上なのにユツィーに押し負けているかのように、数歩後ずさった。