――今日は彼に頼んでルビーローズのお世話をさせてもらった。樹に触れると、ルビーローズは私に「愛を教えて」と伝えてきた。私の力は秘密だけど、信頼できる彼だから、そのことを伝えたわ。だけど向こうは思案顔になるだけで何も言ってはくれなかった。もしかすると、私の言葉を信じていないのかもしれない。


 突然石の声が聞こえると打ち明けて、もしかすると先代侯爵は戸惑っていたのかもしれない。祖母の力を認めてくれるか気になって次の頁を捲ると、不穏な空気へと急変する。


 ――風邪で寝込んでしまい、一週間ぶりに会いに行った。だけど彼はもう、私が誰なのか認識できない。私は呪いの真実を知ってしまった。この呪いはラヴァループス侯爵の顔を醜いものに変えるだけじゃなかった。侯爵は狼に姿を変えてしまった。呪いの最も恐ろしいところは姿も心も醜い獣に変えてしまうこと。


 エオノラは弾かれたように顔を上げた。