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翌朝、太陽が昇り始めて間もない時間帯にエオノラは寝間着姿の上にショールを掛け、中庭に立っていた。それほど広くもないここは室内から外に出るとすぐに植物を観賞することができる。
新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込めば、朝露でしっとりとしている木々の若葉や花の匂いが漂ってくる。
昨夜無事に社交界デビューを終えた。ゼレクが戻ってきたのは三曲目のダンスの途中で、彼からは平謝りに謝られた。
踊ってくれた相手がいて無事に社交界デビューができたと伝えるとゼレクからその相手が誰なのか尋ねられたが、素直に分からないと答えておいた。
すぐにシュリアと彼女の弟がやってきて、二人は興奮気味でゼレクにエオノラの悪い噂をハリーが払拭してくれたことを説明してくれた。
さらにシュリアからは一体どこでハリーと知り合ったのか問いただされたが、当然言えるはずもなく、それは極秘事項だと伝えるしかなかった。
葉先に付いた雫が太陽光に当たってキラキラと輝き始めるのを眺めながら、思案していると後ろから声を掛けられた。
「まだ肌寒いからそんな恰好だと風邪をひくよ」
「おはよう、お兄様」
入り口には両手にお茶の入ったカップを持ったゼレクが立っている。
ゆったりとした白シャツに黒のパンツ姿の彼はこちらにやってくると湯気が立ち上るカップを差し出してくれた。受け取ったエオノラは軒下にあるベンチに腰を下ろして口をつける。それはハニージンジャーティーで、ほんのりと甘い蜂蜜の香りとスパイシーな生姜がアクセントとなり、身体がぽかぽかと温まった。