エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める

「今日、姉さんが来たんだって? ミイも予定あっただろうにごめん」

 彼はおもむろにネクタイを引き抜き、軽く頭を下げた。

「文くんが謝ることじゃないよ。それに、真美ちゃんとは知らない仲ではないんだし、全然大丈夫。楽しかった」
「それならいいけど……」
「真美ちゃんから連絡きたの?」

 別に姉弟だから連絡が入っていてもおかしくはない。ただ、どういった話を聞いたかが気になるところ。

 一番は真美ちゃんが言っていた『任せて』ってひとことが引っかかってる。それに、私と文くんの関係もバレてしまって……。

 そういえば、その事実を私から伝えた方がいいんだろうか。それとももう伝わってる……? ああ、確認しておけばよかった。

 私がひとりで報告するか否か押し問答していると、文くんが頭を抱えて固まっていた。

「文くん……?」
「……めちゃくちゃ絞られた」

 そろりと顔を覗き込んだ直後、文くんはぽつりと零した。
 私は眉を顰め、様子を窺う。

「姉さんにはやっぱり気付かれたんだな。俺たちのこと」

 瞬間、頭の中が真っ白になる。

 真美ちゃん、私たちが偽装の恋人だって気付いたこと、話したんだ!

「ご、ごめ」
「いや、違う。ミイを責めてるわけじゃない。姉さん相手ならそうなるとは予測できるから。ただ……」
「ただ?」