その後、私たちは公孝さんに見送られて店を出た。
行き先は日本橋の百貨店。車で移動し、地下駐車場へ車を停めた後、一階フロアへ立ち寄る。
ケーキを冷蔵ロッカーに預け、エスカレーター乗り口へ足を向ける際、文くんのスマートフォンに着信がきた。
「あー、ごめん。ミイ。ちょっと待って」
「うん。全然大丈夫だよ。気にしないで」
エスカレーターには乗らず、文くんは電話をしながら人気の少ない方へ行く。
私は待っている間、近くのテナントに意識を向けた。
ここはコスメフロア。有名ブランドのショップが所狭しと並んでいて、とてもキラキラして見える。
会社員だった時は、それなりにメイクをして出勤していた。とはいえ、元々そんなにメイクにこだわりがなかった私は、ドラッグストアでコスメ用品は揃えていた。
わ。可愛いパッケージ。装丁だけじゃなく、容器も凝ってる。
こういう大人の女性が使っていそうなものをひとつでも持ったら、文くんに近づけるだろうか。
今って、多分私は完全な妹ポジションだし、良くも悪くも実年齢より下に見られがちだし……。使うものとか持ち歩くものとかからチャレンジするのも案外ありかも……。
通路側にディスプレイされていたフレグランスに惹かれ、まじまじと眺めていたら美容部員の女性に笑顔で声をかけられる。
「いらっしゃいませ。そちら、今日発売になったばかりの新商品なんですよ」
「そうなんですね。可愛いと思ってつい……」
すごく綺麗な女性で、自分が場違いな気がしてならない。
肩を窄めてぼそぼそと返すも、スタッフの女性は表情を変えずに手のひらで店内を指し示す。
「そちらは『with』というシリーズで、当社の一番人気のシリーズなんです。もしよければ、あちらにもいろいろありますのでどうぞ」
「あぁ、実は私、あまりお化粧が得意じゃなくて……だから種類が多すぎると決めきれないっていうか」
「ミイ」
目の前の商品を手に取った時に後ろから呼ばれて振り返ると、文くんがいた。
行き先は日本橋の百貨店。車で移動し、地下駐車場へ車を停めた後、一階フロアへ立ち寄る。
ケーキを冷蔵ロッカーに預け、エスカレーター乗り口へ足を向ける際、文くんのスマートフォンに着信がきた。
「あー、ごめん。ミイ。ちょっと待って」
「うん。全然大丈夫だよ。気にしないで」
エスカレーターには乗らず、文くんは電話をしながら人気の少ない方へ行く。
私は待っている間、近くのテナントに意識を向けた。
ここはコスメフロア。有名ブランドのショップが所狭しと並んでいて、とてもキラキラして見える。
会社員だった時は、それなりにメイクをして出勤していた。とはいえ、元々そんなにメイクにこだわりがなかった私は、ドラッグストアでコスメ用品は揃えていた。
わ。可愛いパッケージ。装丁だけじゃなく、容器も凝ってる。
こういう大人の女性が使っていそうなものをひとつでも持ったら、文くんに近づけるだろうか。
今って、多分私は完全な妹ポジションだし、良くも悪くも実年齢より下に見られがちだし……。使うものとか持ち歩くものとかからチャレンジするのも案外ありかも……。
通路側にディスプレイされていたフレグランスに惹かれ、まじまじと眺めていたら美容部員の女性に笑顔で声をかけられる。
「いらっしゃいませ。そちら、今日発売になったばかりの新商品なんですよ」
「そうなんですね。可愛いと思ってつい……」
すごく綺麗な女性で、自分が場違いな気がしてならない。
肩を窄めてぼそぼそと返すも、スタッフの女性は表情を変えずに手のひらで店内を指し示す。
「そちらは『with』というシリーズで、当社の一番人気のシリーズなんです。もしよければ、あちらにもいろいろありますのでどうぞ」
「あぁ、実は私、あまりお化粧が得意じゃなくて……だから種類が多すぎると決めきれないっていうか」
「ミイ」
目の前の商品を手に取った時に後ろから呼ばれて振り返ると、文くんがいた。



