エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める

 予定よりちょっと遅くなった夕食後。

 私はコーヒーを入れたカップを持ち、ソファに座る。すると、すでにソファにいた文くんが口を開いた。

「ところで、どこに行きたい? 新婚旅行」

 急な話題に、私は目を白黒させる。

「え……っ。だって仕事……」
「夏休みもらえそう。っていうか、ちゃんと休めって言われてて。さすがに海外とかは難しいかもしれないけど」
「そうなの? えっ。でも急すぎて……どうしよう。わかんないかも」

 うれしさのあまり、顔がにやけてしまう。

「あ、でも文くんの貴重な休みなわけだし、疲れを癒せるようなプランとか」
「それはまた別の機会でもいいから」
「えー? うーんでも……」

 腕組みをして唸る私を見て、文くんはくすくすと笑う。
 そして、肩を抱き寄せ、旋毛にキスをした。

「考えよう。色んなこと、これからも一緒に」

 柔和な面持ちの彼に安らぎを感じる。

 どんな苦難と遭っても、一緒に悩み考えてくれる人がいる。

 つまりそれは、うれしいことがあれば、一緒に喜べるということ。

 至極シンプルだけど、そんな幸せって他にない。

「――うん」

 私はとても穏やかな心地で彼と向き合い微笑んだ。