エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める

 こんなにキスを交わしても、まだ全然足りないと思うのはおかしいのかな。
 けど、今はもう止まらない。止められない。

 ――彼がほしい。

 はしたない願望を認めた途端、文くんは唇を離した。
 身体も少し距離を開けて、私の目を覗き込む。

 心の中をすべて見透かされている気がして、パッと俯いた。

「澪。こっち見て」

 彼は柔和な声で言って、私の頬に艶めかしく触れる。私はそれがわざとだと知っている。

「……もう。ずるい、こんなの」
「どうして?」
「文くんの言う通りになっちゃうもん」

 恥かしさのあまり、瞳を潤ませながら呟いた。
 すると、文くんは「ふっ」と笑う。

「可愛いな」
「あっ」

 突如体勢を低くしたと思ったら抱え上げられて身を強張らせる。
 咄嗟にしがみついた私に、彼はふいうちでキスをした。

「俺の澪」
「それって……私が言ってたやつじゃ……」

 途端に顔から火が出る。

 私が小さい頃、文くんが好きすぎて独占欲丸出しで言っていた言葉とおんなじだ。

「俺、今思えば『ミイの』って言われ続けて一回も嫌とか鬱陶しいとか思ったことないな。そういや大人になってから聞いてないかも」
「い、言えないでしょ。そんなの……」
「そう? 人前ならわかるけど、ふたりきりの時ならいくらでも言っていいよ」
「いや、でも……んっ」

 私が彼の腕の中で返事を渋っていたら、再び唇が落ちてくる。ちゅっと音を立ててから離れていった彼の色っぽい唇がゆっくり開いていく。

「今これから言えるようにしてあげようか」
「え!」

 文くんは笑みを浮かべ、さらに言う。

「式の打ち合わせはその後ね」

 そうして私は文くんにたっぷりと甘やかされる。

 どのくらいの時間が経ったかわからないほど、彼の指先や唇、身体すべてで愛し尽くされた。