エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める

「ただいま」

 振り返ると、仕事から帰ってきた文くんが立っていた。

「あ、帰ってきちゃった」
「なんだよ。まるで迷惑みたいな言い草……ここは俺の家だ」
「女同士の話っていうのがあるもんねえ?」
「え? まあ……」

 急に振られてたどたどしく返している間に、真美ちゃんはスッとソファから立ち上がった。

「じゃ、そろそろ帰るね。ミイちゃん、またね」
「うん。またね」

 玄関まで見送りをしてリビングに戻ると、文くんはネクタイを外してワイシャツのボタンを緩めていた。

「今日は早かったね」
「うん。早く帰れる時は帰ろうと思って」
「そうだよね。勤務医はまともに休める日が確約されてるわけじゃないし、せめてそのくらいはいいと思う。休める時に身体休めないと」
「いや、そうじゃなくて」

 文くんは否定するなり、私との距離を詰める。
 目を丸くして文くんを見上げていたら、腰に手を回されてコツンと額をぶつけられた。

「少しでも式の準備進められるだろ? 澪にばっかり大変な思いさせてるのは本意じゃない」
「そ……そんなことないよ。大変とか」

 色気のある低音で囁かれると、密着しているのもあってドキドキする。

「んー、どうやったら澪は昔みたいに素直に甘えてきてくれるんだろう」
「え?」
「頭で考えるのやめさせたらいいのかな。その瞬間の気持ちだけを表せるように」

 やたらと甘やかな声色にどぎまぎしていたら、すでに顔に影を落とされていて動揺する。

「なっ……えっ……んっ」

 次の瞬間にはもう、唇が重なっていた。

 頭で考えるのをやめさせる――彼はその言葉を有言実行するかのように、情欲を掻き立てるキスをする。

 初めは啄み、徐々に触れる時間が長くなり、気付けば力が抜け落ちて唇も開いていた。
 彼は私の下唇をゆっくり食み、するりと口内へやってくる。

「ん、ん……ッ」

 耽美な時間に酔いしれて、私はいつしか立っていられなくなって、どうにか彼のワイシャツを掴んでいた。

 それでも文くんは止まらずに、私の腰を支えては引き寄せ、深く侵入しては舌を絡ませた。
 身体が火照るのを感じながら、私は羞恥心も忘れてただ彼を求めた。