――数か月後。
「もー、本当、いてもたってもいられなくて。私しゃしゃり出ちゃったの! ごめん、ミイちゃん」
午前診療の後にマンションに遊びに来た真美ちゃんが、私に両手を合わせて謝った。
「ううん。なんかむしろ……ごめんね」
真美ちゃんがなにを謝罪したかというと、天花寺家の後継者についての話。
私はあの後、病院の先生と相談しつつ、治療を続けている。
結論から言うと、いわゆる妊活と呼ばれるものはもう少し後にしようと、文くんと話して決めた。
私が色んな葛藤をしてい時期に、彼が自然体で『もう少し澪とふたりの時間を過ごすのもいい』って言ってくれたから。
私も、もちろん将来的に子どもを授かれたら幸せだと思うし祈ってはいるけれど、根本は好きな人と……文くんと一緒にいたい気持ちがすべて。
しかし、ようやく落ち着いたと思ったところに、文くんのお祖父さんが天花寺総合病院の後継ぎの話題を持ち出してきた。
まだ先のことは誰にもわからない状態なのに、お祖父さんが文くんへ子どもを急かしていたらしく……あまりにしつこかったみたいで文くんは憤慨し、さらには真美ちゃんまで火が点いたというのが事の顛末だ。
「いいのよ。私もつい加勢したけど、結局文尚がひとりで論破させたようなものだし」
「仲違いとかしてないんだよね? 文くん、『大丈夫』しか言わなくて」
「大丈夫って言うんだから大丈夫でしょ。あいつはミイちゃんが後から傷つく可能性がある嘘は言わないよ」
真美ちゃんは若干冷やかし交じりに答えるものだから、私は頬を熱くして肩を窄めた。
「大体、一族経営とか政略結婚なんてもう古いのよ。それにうちの両親はあの通りミイちゃん大好きだから全然平気よ。私もね」
ソファに深く座っていた彼女が前のめりになって、ラグに座る私の顔を覗き込む。
面と向かって『好き』って、案外同性でも家族でも言えない言葉。
真美ちゃんはストレートな性格もあって、臆面もなくそういうセリフを言ってくれる。私はそれがとてもうれしい。
はにかんで「うん」とひとこと答えると、改めてジッと見つめられる。
「もー、本当、いてもたってもいられなくて。私しゃしゃり出ちゃったの! ごめん、ミイちゃん」
午前診療の後にマンションに遊びに来た真美ちゃんが、私に両手を合わせて謝った。
「ううん。なんかむしろ……ごめんね」
真美ちゃんがなにを謝罪したかというと、天花寺家の後継者についての話。
私はあの後、病院の先生と相談しつつ、治療を続けている。
結論から言うと、いわゆる妊活と呼ばれるものはもう少し後にしようと、文くんと話して決めた。
私が色んな葛藤をしてい時期に、彼が自然体で『もう少し澪とふたりの時間を過ごすのもいい』って言ってくれたから。
私も、もちろん将来的に子どもを授かれたら幸せだと思うし祈ってはいるけれど、根本は好きな人と……文くんと一緒にいたい気持ちがすべて。
しかし、ようやく落ち着いたと思ったところに、文くんのお祖父さんが天花寺総合病院の後継ぎの話題を持ち出してきた。
まだ先のことは誰にもわからない状態なのに、お祖父さんが文くんへ子どもを急かしていたらしく……あまりにしつこかったみたいで文くんは憤慨し、さらには真美ちゃんまで火が点いたというのが事の顛末だ。
「いいのよ。私もつい加勢したけど、結局文尚がひとりで論破させたようなものだし」
「仲違いとかしてないんだよね? 文くん、『大丈夫』しか言わなくて」
「大丈夫って言うんだから大丈夫でしょ。あいつはミイちゃんが後から傷つく可能性がある嘘は言わないよ」
真美ちゃんは若干冷やかし交じりに答えるものだから、私は頬を熱くして肩を窄めた。
「大体、一族経営とか政略結婚なんてもう古いのよ。それにうちの両親はあの通りミイちゃん大好きだから全然平気よ。私もね」
ソファに深く座っていた彼女が前のめりになって、ラグに座る私の顔を覗き込む。
面と向かって『好き』って、案外同性でも家族でも言えない言葉。
真美ちゃんはストレートな性格もあって、臆面もなくそういうセリフを言ってくれる。私はそれがとてもうれしい。
はにかんで「うん」とひとこと答えると、改めてジッと見つめられる。



