久々の自分の部屋で、仕事をしていた。けれども、どうにも筆が進まなくて、結局お気に入りの本を読み耽っていた。
気付けば窓の外は暗くなり、あっという間に夜になる。
六時を過ぎた時、家のインターホンが鳴った。
夕飯の支度を母としていた私は、「ごめん、お願い」と頼まれてモニターへ足を向ける。
画面を見た瞬間、「えっ」と声を上げてしまった。
「澪? どうかしたの?」
「あっ、いや、文くんが」
「え? 文くん? 澪はこっちにいるって連絡したんでしょ?」
「う、うん。とりあえず玄関出てくる」
バタバタと玄関へ足を向け、解錠してドアを押し開ける。
「澪。ごめん。メッセージ既読にならないし、電話も出ないから心配で来ちゃった」
「えっ? ご、ごめんなさい。マナーモードのままソファに置きっぱなしでご飯支度してたから気付かなかったみたい……」
本当に急だったからしどろもどろになってしまう。
どうやら文くんは職場からまっすぐここへ来てくれたみたい。
「そっか。それならいいんだけど」
わざとではないけれど連絡に気付けなかった罪悪感に加え、勝手に実家へ戻ってきて事後報告しただけに気まずい。
どう言葉を繋げていいか、困惑していてわからずにいると、リビングの方から母の声が届く。
「澪ー! 文くんに上がってもらいなさいよー!」
「わ、わかってる! 文くん、上がって」
母のおかげで対応できたものの、どうしても文くんをまっすぐ見られない。
「お邪魔します。こんばんは。急に来てすみません」
「別にいいのよ~。急だったのはその子なんだから。今ここバタバタしてるし落ち着かないと思うから、ふたりで上に行ったら?」
母に促された私は、おどおどしながら頷いた。
「うん。じゃあ……そうする」
私が先導して階段を上り、自分の部屋へ入る。
文くんを招き入れた後ドアを閉め、振り返ると彼は私を見ていてドキリとした。
「体調はどう?」
「あ、うん。今は……平気」
今朝、母に釘を刺されてから、私は文くんへメッセージで連絡をしていた。
どうして突然こんな行動を取ったのか、先にすべてを伝えるべきか迷いに迷って、結局【実家に来てます。体調も万全じゃないので数日いようと思います】とだけ送ったのだ。
そして文くんからは、昼過ぎに【わかった。仕事終わったら連絡する】と返事がきていた。
「これ、澪の好きそうなやつ。春菜さんたちと食べて」
文くんは赤い紙袋を私に差し出す。それは人気のパティスリー店の紙袋だった。
「ありがとう……そんな、いいのに」
懸命に笑顔を作って、紙袋を両手で受け取った。
手に感じるお土産の重みに胸が苦しくなる。
こんなに優しくされ過ぎると……心が痛い。
劣等感や罪悪感を抱えているのがしんどくて、堪らず胸の内を零してしまう。
気付けば窓の外は暗くなり、あっという間に夜になる。
六時を過ぎた時、家のインターホンが鳴った。
夕飯の支度を母としていた私は、「ごめん、お願い」と頼まれてモニターへ足を向ける。
画面を見た瞬間、「えっ」と声を上げてしまった。
「澪? どうかしたの?」
「あっ、いや、文くんが」
「え? 文くん? 澪はこっちにいるって連絡したんでしょ?」
「う、うん。とりあえず玄関出てくる」
バタバタと玄関へ足を向け、解錠してドアを押し開ける。
「澪。ごめん。メッセージ既読にならないし、電話も出ないから心配で来ちゃった」
「えっ? ご、ごめんなさい。マナーモードのままソファに置きっぱなしでご飯支度してたから気付かなかったみたい……」
本当に急だったからしどろもどろになってしまう。
どうやら文くんは職場からまっすぐここへ来てくれたみたい。
「そっか。それならいいんだけど」
わざとではないけれど連絡に気付けなかった罪悪感に加え、勝手に実家へ戻ってきて事後報告しただけに気まずい。
どう言葉を繋げていいか、困惑していてわからずにいると、リビングの方から母の声が届く。
「澪ー! 文くんに上がってもらいなさいよー!」
「わ、わかってる! 文くん、上がって」
母のおかげで対応できたものの、どうしても文くんをまっすぐ見られない。
「お邪魔します。こんばんは。急に来てすみません」
「別にいいのよ~。急だったのはその子なんだから。今ここバタバタしてるし落ち着かないと思うから、ふたりで上に行ったら?」
母に促された私は、おどおどしながら頷いた。
「うん。じゃあ……そうする」
私が先導して階段を上り、自分の部屋へ入る。
文くんを招き入れた後ドアを閉め、振り返ると彼は私を見ていてドキリとした。
「体調はどう?」
「あ、うん。今は……平気」
今朝、母に釘を刺されてから、私は文くんへメッセージで連絡をしていた。
どうして突然こんな行動を取ったのか、先にすべてを伝えるべきか迷いに迷って、結局【実家に来てます。体調も万全じゃないので数日いようと思います】とだけ送ったのだ。
そして文くんからは、昼過ぎに【わかった。仕事終わったら連絡する】と返事がきていた。
「これ、澪の好きそうなやつ。春菜さんたちと食べて」
文くんは赤い紙袋を私に差し出す。それは人気のパティスリー店の紙袋だった。
「ありがとう……そんな、いいのに」
懸命に笑顔を作って、紙袋を両手で受け取った。
手に感じるお土産の重みに胸が苦しくなる。
こんなに優しくされ過ぎると……心が痛い。
劣等感や罪悪感を抱えているのがしんどくて、堪らず胸の内を零してしまう。



