「子どもだな」
でも結局鼻で笑われ、ムッとする。
つい二時間前は私の手作りロールキャベツを食べて柔らかく微笑んでいたくせに……と思いながら背もたれにボスッと背中を預けた。
蓮見さんは黒いTシャツに黒のスウェットで、私はラベンダー色のパジャマ。服だけ見ると完全にリラックスモードだけれど、蓮見さんの片手にはタブレットがあった。
チラッと見る限り、メール画面っぽかったので仕事だろう。
キッチンに移動し、湧いたばかりのお湯をティーポットに入れる。十分蒸らしたあとカップに注ぐとほうじ茶のいい香りが舞った。
「お土産のお茶、いただきます」
ソファに座りながら言うと、蓮見さんが私の持っているカップに目を留める。
「ああ、ほうじ茶か」
「お菓子類は、食後のおやつに少しずついただきます」
私がリクエストしたのはほうじ茶だけだ。
重たくないし荷物にもならないだろうと考えてのことだったのだけれど、蓮見さんは昨日、いくつものショップの紙袋を私に差し出した。
中は、洋菓子や和菓子でどれも有名なものだった。きっと、相当荷物になったはずだ。
「どうせ甘いものをリクエストされると思って下調べを始めていたから、ほうじ茶と返事がきたときには意外だった」
「洋菓子も和菓子も大好きです。でも、荷物になるかと思ったので」と説明した私に、蓮見さんは小さく息をついた。
「つまらない遠慮はするな。なにがいいかを聞かれたのなら、素直に答えればいいだけの話だ」
「今後はそうします。しっかり銘柄まで言わないと、余計に蓮見さんの荷物を増やすことになると学んだので」



