政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい



ちなみに、うちの会社は接客業なので定休は毎週水曜日。今週の土日に関してはどうしてもと母に頼まれ有休をとったのだけれど、まさかこんな話になるとは思いもしなかった。

「あの、相手の蓮見さん?は、なんで快諾してるの? 会ったこともないのにおかしくない?」

蓮見さんは見ず知らずの私のいったいどこを快く思い結婚相手として承諾したのか。

「うーん。でも政略結婚なんてそんなものじゃない? 今の人はドライだって言うし、自分の希望にさえ沿っていれば他は興味ないんじゃないかしら。ほら、春乃ちゃんだって経済力さえあれば誰でもいいって言ってたでしょう? 同じよ」

痛いところをつかれ、グッと黙る。
母からしたら嫌味のつもりはないのだろうけれど、経済力うんぬんは本心からの発言じゃないため、こうして持ち出されると勝手に責められている気分になってしまう。

「……え。待って。さっき政略結婚って言った?」

母の言葉のなかに聞き流せない単語が混ざっていた気がして聞くと、すぐに「そうよ、政略結婚」と笑顔でうなずかれた。

「お父さんの会社と蓮見さんの会社が提携するのよ」
「提携……? じゃあ、そのために私が差し出されるってこと?」

そう声に出してすぐに、自分自身の発言に首を傾げた。

「……今の時代にそんなことってあるの?」