そこまで警戒されていたのが不満なのか、盛岡さんは渋い顔つきになった。
そんな彼に、蓮見さんが「ところで」と切り出す。
「こちらは盛岡さんの会社が所有する車ですか?」
テーブルに置かれた数枚の写真には、シルバーのセダンが映っていた。
「一応、警察を通して陸運局にナンバーの照会をかけたところ、盛岡さんの会社の名前があったという話ですが、間違いありませんか?」
この車がなんだと言うのだろう。
不思議だったけれど、一方の盛岡さんは思い当たる節があるのか、目を泳がせていた。
「うちのマンション前に何度か駐車していたようですね。春乃の帰宅と同時に走り去るという行動を何度かしていたようで、カメラで確認し不審に思ったコンシェルジュから報告を受けて調べていたんです。私と春乃の同居の事実を確認して、いったい何をしたかったのか伺っても?」
「いや、それは……たまたまで」
蓮見さんは声を荒げるわけでもなく、淡々と話していただけなのに対して、盛岡さんは見るからにたじたじになっていく。
たぶん、第三者から見ても立場の強さの違いがわかるほどだと思う。
「たまたまですか。白を切るつもりならそれで構いません。ただし、今回に限っての話ですが。今後、私や春乃、〝ロータステクノロジー〟〝レイドバッグホームズ〟の前に姿を現すようなことがあればこちらも対応を考えます」
写真をスーツの胸ポケットにしまった蓮見さんが私に視線を向ける。
意図を理解し立ち上がってから、盛岡さんを見た。



